2014年9月29日月曜日

笹団子とちまき 屈原という詩人がいた

新潟県の名物はいろいろある。笹団子とちまきは懐かしい。笹に包むところは一緒なのでペアになっていることが多い。笹団子はヨモギを混ぜた餅の中に小豆の餡子が入っている。笹で包んでから藁で縛るので俵型になる。ちまきはもち米が三角になって笹に包まれている。こちらは黄粉につけて食べる。子供のころは五月の節句の頃に食べたような気がする。今のように何でも機械で大量生産する時代ではなかった。笹団子もちまきも農家だった父の実家でたくさん作り、分家におすそ分けがあった。今では新潟県のJR駅でいつでも販売している。

大人になって都会に出たときに中華料理屋に粽(ちまき)というものがあるのを知った。笹で包んでいるところは同じだが、新潟県の正三角形のちまきと異なり細長い。なんだか上品な形だ。中国のちまきの起源については言い伝えがある。古代中国の楚の国に詩人であり政治家である屈原という人がいた。楚の国が秦に滅ぼされた時に、この人は為政者としての責任をとって自ら入水した。そこから様々な言い伝えが残っている。その一つがちまきだ。屈原の死後もこの人を慕った人々がご飯をお供えしようとした。水底に住む屈原に届くまで魚に横取りされないようにと笹に包んだのが始まりだそうだ。この屈原という人を描いた横山大観の絵がある。

2014年2月に台湾の雲門舞集(Cloud Gate Dance Theatre) のロンドン公演のチケットをもらったのでこのモダン・ダンスを観に行った。屈原の「九歌」が原作だ。舞台前方にハスの池が設置してある。舞台の上手の奥の方には大きな月が出ている。まるで古事記のイザナギとイザナミのような第一歌。祈りのような低い声が延々と続く。途中で日本の雅楽が使われたり、何やら南洋風の音楽もある。様々な場面を、スーツケースを抱えた現代風の男が横切ったり、自転車に乗った人が走り抜けたりする。時間の推移を示しているらしい。大勢の人が国を守るために戦って死んでいく群舞があった。最後の歌はその魂を慰めるものだった。ダンサーの人たちが少しずつ舞台に残していった蝋燭の灯りが河の形になる。命の河であり、天の川でもある。幻想的な照明と音楽が印象的だった。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿