2014年10月25日土曜日

イワン・クラムスコイの絵「忘れえぬ女」

この絵のポスターを初めて見たのはタシケントに住んでいた頃だ。インパクトの強い謎めいた絵が気になった。それから何度か目にしたので有名な絵らしいことに気がついた。ふと思いついてGoogle検索を試みてみた。ロシアの有名な絵だとすれば、いくつかの美術館の名前を検索し、その美術館の代表作品の画像をチェックしてみれば出てくるかも知れない。サンクトペテルブルクのエルミタージュとロシア美術館を検索し、3番目にモスクワのトレチャコフ美術館を検索して辿りついた。19世紀後半に活躍したイワン・クラムスコイという画家の作品で、「アンナ・カレーニナ」をイメージしたものという見方がある絵だそうだ。

この絵はとても有名で日本でも公開されたことがあるそうだ。この絵のロシア語の原題は「見知らぬ女」となっているにも関わらず、日本の展覧会では「忘れえぬ女」というタイトルに変わっていた。誰のアイデアか知らないがなかなか良いセンスだ。岸恵子・佐田啓二主演の「君の名は」のように、まだその人の名前も境遇も知らない「見知らぬ人」に一目ぼれしてしまったのかも知れない。

あるいは事情があって別れた人と、時は流れて「見知らぬ人」として再会する可能性だってあるだろう。この場合に自分はその人を覚えているが、長い年月の後で自分自身の容貌やら境遇が変わったので、相手にとって自分が「見知らぬ人」になっているかも知れない。

中島みゆきの「時は流れて」という歌を思い出す。「あんたの恋の噂も いくつか聞いた そのたびに心は 安心していた あたし一人が変わってしまって あんたが何ひとつ 変わらずにいたら 時は何にも理由のない さみしい月日に なるような気がして」。


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