2014年10月17日金曜日

流離うジプシーの歌

ロシアの映画監督ニキータ・ミハルコフは若い頃から俳優としても活躍している。独特の高い声の人だ。エリダル・リャザノフ監督「持参金のない娘」(1984)の中で歌っている流離うジプシーたちの歌がすばらしい。この歌はタシケントで買ったロシアのロマンス集のCDに入っている。

歌詞の和訳はタシケントでエレーナ先生の授業を取っていた頃のノートにだいぶ経ってから補足したものだ。こういう教材で授業をしてもらったが、細かい話になると「詩とか歌はそのまま訳しても意味わかんないのよ」と言って逃げられた。当時は細かい部分を追求する読解力もなかったので、いくつかの部分が未消化だった。良い曲なので繰り返しCDを聴いている時に気がついたこともある。長い時間をかけてできた訳詞が気に入っている。

むく毛の蜂が香り高いホップの花に向かい
薄青色のアオサギが葦原に向かうように
ジプシーの娘は愛する人を追いかける
生まれついての漂泊の魂のままに
ジプシーの星を追いかけて夕陽に向かう
そこでは船の帆が揺れている
娘の瞳は家を持たない哀しみに満ちて
紫紺の空を見る

流離う二人は自分たちの運命に従うだけ
向かうのが地獄だろうと、天上だろうとかまいはしない
怖れることもなく、ただ行くだけ
地の果てまでも、その先までも
ただジプシーの星を追いかけて

東の空の朝焼けに向かう
やさしい静かな薔薇色の波が
朝陽を浴びた砂の上に打ち寄せる
ただジプシーの星を追いかけて
南の果てには台風がうなる
激しい嵐が 神様の箒のように
大海のちりを清めている

   (刈谷田川の夢 訳)

1 件のコメント:

  1. ジプシーの定めを自然の一部として受け止める、切なく美しいですね♪♪♪santa

    返信削除