2015年2月27日金曜日

農業に生きる狩りガール 猟人として生きる幼なじみ

ロンドンにはいくつか在留邦人向けの週刊新聞がある。その一つの「週刊ジャーニー」219日号に「狩りガール」と呼ばれる狩猟免許を取得する女性たちが増えていることが書いてあった。1979年に狩猟免許の取得者数は447千人程度だったが、現在では18万人程度と大幅に減少したのみならず、免許取得者の6割が60歳以上と高齢化も進んでいる。ハンターの減少により野生獣(イノシシ、シカなど)の農作物への被害が深刻化し、対策が必要になっている。こうした状況の中で、女性の免許取得者が過去10年で倍増して2千人を越えているそうだ。この記事を読んで今年1月に旧友のA君と河口湖で富士山を観た帰りに都留に寄り道してお嬢さんのMさんを訪問したことを思い出した。

Mさんは京都の大学と東京の大学院で農業を専攻した後に、いったん大企業のIT部門に就職した。毎日コンピューターを相手にして働いている内に、当初の農業に生きる夢を貫くことを決意したそうだ。今は都留のNPOで自然農法の仕事をしている。その日はMさんと同僚たちとその家族総出で獲れた野生シカの解体作業の最中だった。これは他の猟師さんが仕留めたものだったが、解体処理に手がかかるのでMさんたちのところに回ってきたものだ。皮を処理するのに寒空の中で半日以上かけての根気のいる仕事だった。それが夕方になって完了すると、肉を取り分ける作業はすぐに終わった。

その作業を見守り、同僚の家族の子供たちや近所のおじさんたちと一緒に焚き火を囲みながら、世間話をしてゆっくりした時間を過ごした。Mさんはこれまでのところ仕掛け猟の免許だけだが、やがては猟銃免許にも挑戦したいらしく、子煩悩なA君を心配させている。山の中で野生のイノシシと猟銃で対決するのは簡単な話ではないだろう。皆さんに別れを告げると、すでに陽は落ちていた。

中央フリーウェイに乗って東京に戻る前に、再び寄り道しA君の幼なじみのTさんのお宅にお邪魔した。Tさんは新潟県の栃尾で育ち、東京の大学を出て以来、都会の会社員生活をしてきたが、子供も独立したので、趣味で続けてきた猟を本業にしてこれから生きていくことにした人だ。奥さんが山梨の人だったこともあり、夫婦で都留に移住した。ハンター人口が減少し、野生獣であるイノシシやシカが農作物に与える被害が深刻化しているため、免許保有者に対しては猟友会を通じて協力依頼があって忙しいそうだ。Tさんの奥さんの手作りの熱々の山梨名物ほうとうと地野菜の料理で地酒をご馳走になった。男三人と奥さんで様々な思い出話に花が咲いた。忘れられない一日になった。

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