2015年9月15日火曜日

ロンドン「題名のない音楽会」で懐かしい歌に再会した

先日の「ロンドンの題名のない音楽会」で、伝説の声楽研究会メンバーのMさんがカンツォーネを歌った。2度ほど参加させていただいた月例会でこの人の美声と歌唱力は知っていたので楽しみにしていた。音楽会での歌唱はキーボード伴奏が中心だったがMさんはアカペラだった。イントロでの曲の解説も良かった。カンツォーネの名曲でボチェリ、ドミンゴ、パヴァロッティなどがそれぞれコンサートの持ち歌にしていたということだった。地下鉄グリーンパーク駅の近くにあるレストランの地下室を借りた会場に流れた歌声に耳を傾けた。びっくりした。タシケントで半年ほど歌の先生についてヴォイス・トレーニング付きの稽古をした時の練習曲の一つだった。2004年の話だ。その時に習った「ソレントへ帰れ」が良く知られているのは承知していたが、この「わすれなぐさ」という邦題のついている歌がこんなに有名だとは知らなかった。

エフゲニー先生のレッスンは「楽しみながら声を出すのが第一」なのでジャンルは自由だった。ジャズやポップスのスタンダード曲は英語で習った。「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」、「ミスティ」、「ムーンライト・セレナーデ」など懐かしい。さらにカンツォーネ数曲をロシア語で習った。楽譜に書かれている歌詞の意味が分かろうが分かるまいが先生と一対一で、口真似で習っていくのだから関係ない。美しい曲だということは耳でわかる。先生はタシケントの音楽学校の先生で生徒を集めて定期発表会をしていた。「だいぶ声が出るようになってきたね。次の発表会に出てみたら?」というコメントをいただいたのはタシケントを離れる直前だったので、カンツォーネ曲でのステージデビューは夢のままとなってしまった。タシケントを離れて、スコピエに転勤したのは2004年の11月のことだ。その後は先生について歌を習う機会はなかった。ほとんど忘れかけていた歌にロンドンの題名のない音楽会という集まりで出会うなんて思いもしなかった。タシケントとロンドンが一気につながるような気がした。

ロンドンの「題名のない音楽会」がこの時期に開催される理由の一つは9月後半にロンドンで「ジャパン祭り」が開催されることがある。そこでイベントの一つとしてのど自慢大会が開かれる。予選を勝ち抜いたか、ワイルドカードを手にしたかどちらか15人の皆さんがトラファルガー広場に特設された舞台の上で歌声を披露する。聴衆の数は、熱心かどうかはさておき、その場にいる人を合計すれば一万人を越えるはずだ。最近2度ほど参加させていただいた声楽研究会のメンバーの人たちもこののど自慢に個人もしくはグループで参加してきた。それでこの題名のない音楽会がジャパン祭りの前哨戦の意味を持つようになった。歌の練習に興味を持つ人のみならず、ロンドン在住のプロの演奏者の方々がゲストとして参加してくれたのて、とても楽しく聴きごたえのあるコンサートだった。

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