2015年7月31日金曜日

睡蓮とひつじ草

朝開いた花が午後になると眠るように花を閉じるので「睡蓮」と書く花がある。水に浮かんでいるので「水蓮」と思っている人も多いようだ。この花を日本では「ひつじ草」と呼んできたそうだ。未の刻(午後2時)になると睡る花だからということらしい。午前中に睡蓮の花の咲き具合を観に行くと、たしかに夕方に訪れた時よりも多くの花が見事に開いていた。

フランスの画家モネが睡蓮の池を題材に、たくさん絵を描いたことはよく知られている。同じ漢字が使われるくらいだから、蓮と睡蓮は似ているところが多い。一番大きな違いは葉と花が水の上に浮かんでいるのか、すっと空中に伸びているのかということになるが、実はこれも決め手にはならないらしい。睡蓮にはいろいろ種類があって、熱帯睡蓮の花は水面から立ち上がるそうだ。古代の仏典などでは睡蓮と蓮の両方を含む言葉として蓮華が使われるらしい。蓮を国花としている国にはインド、ベトナムがあり、睡蓮はエジプト、タイ、バングラデシュ、スリランカで国花になっている。

先週末にフランスのブルジェ湖に行った時にインド出身のご夫婦が一緒だった。シャナズという村に向かう運河の上に黄色の睡蓮が咲いていた。「インドの国花は蓮(lotus)だが、睡蓮(water lily)との違いを意識していますか?」と訊ねてみた。博覧強記の人なのでいろいろ薀蓄が聞けるかも知れないと思ったからだ。「どっちも同じよ。」というすげない返事でがっかりした。蓮と睡蓮にはいろいろな違いがある。これについては宮本輝「睡蓮の長いまどろみ」について書いたノートがあるので、ご一読願います。










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