2015年6月13日土曜日

コマドリ 英国を代表する鳥

6月11日の英紙タイムズに英国の国鳥を選ぶ投票の結果が発表された。鳥類学者で作家のデヴィッド・リンド氏がこの人気投票を組織した。郵送とオンラインに加え、学校に投票箱を設置するなどの方法により、20万人を越える人が投票した。米国にはハクトウワシ、フランスにはオンドリ、インドには孔雀、日本には雉など、それぞれ国を代表する国鳥が定められていて、記章やお札の図柄として使われている。日本では一万円札に登場する。英国に国鳥が無いのはおかしいと思ったことから、リンド氏はこの活動を始めたそうだ。投票の結果を踏まえて政府に正式な決定を勧告し、将来は記章などにその図柄を使うことを目指すそうだ。国鳥は、その国を象徴する鳥として国家機関が定めている場合や、日本のように学術機関が定めている場合など、国によってさまざまだ。投票の結果、トップ5の内の4種類はマザーグースに登場する鳥となった。もう一種類の鳥はビートルズの歌に登場する鳥だ。歌が人々の心に訴える力はすばらしい。

   1. こまどり(ロビン)34%
   2. めんふくろう 12%
   3. ブラックバード 11%
   4. みそさざい 9%
   5. 赤とび 6%

第1位のこまどりは小さな鳥なのであまり目立たないが、自然林のある公園などに行くと道まで降りてくるのでよく見かける。見慣れると顔から胸にかけてきれいなオレンジ色なのですぐわかるようになる。日本では、昭和の時代にこまどり姉妹という双子の歌手のペアがいた。英国のマザーグースの「誰が殺した、クック・ロビン」という唄は、英語圏のみならず、日本でも北原白秋が訳詩を発表して以来、様々な詩人や歌人が翻訳しているので良く知られている。


第2位のめんふくろうはお面をかぶったような夜行性の鳥だ。英語でbarn owlというのは納屋のふくろうという意味だ。農場などの納屋に巣をつくり、夜になるとネズミなどの小動物を捕まえて食べる。フクロウが書店のマークなどによく使われるのは夜も寝ないで本を読むと言う意味だろう。

第3のブラックバードは公園によくいる目立たない鳥だが、よく見るとくちばしが黄色で目が可愛い。オス鳥は黒だが、メス鳥は茶褐色だ。ビートルズが1968年に発表した歌にもなっている。ポールが作詞し、ジョンが作曲したとてもきれいな歌だ。


第4位のみそさざいは暗褐色の小さな鳥だが、その尾羽をピンと立てているのが特徴だ。小さい鳥が元気に尾羽を立てていることからのイメージなのか、小さなミソサザイが大きくて強い鷹と競い合ったり、鳥の王様になったりする昔話が日本でも、英国でも伝えられている。英国ではこまどりとみそさざいをペアとする言い伝えもある。

 The robin redbreast and the wren  胸が赤いコマドリとミソサザイ
   Are God's cock and hen.       神様が決めたつがいの鳥

第5位の赤とびは、名前の通り、白と赤褐色の羽毛の対比が美しい。英国では剥製にするために乱獲され、19世紀末にはイングランドとスコットランドから消滅した。20世紀の終わり頃になって、野鳥保護運動の象徴的な鳥となり、欧州各地から集められたヒナ鳥がイングランドとスコットランドの農村地帯に放たれたこともあるそうだ。


Who killed Cock Robin? (訳・谷川俊太郎)

誰が駒鳥殺したの?
わたし、とすずめがいいました
わたしの弓矢で
わたしが殺した

誰がお墓を掘るだろう?
わたし、とフクロウがいいました
すきとシャベルで
わたしが掘ろう

誰がお棺を運ぶだろう?
わたし、とトンビがいいました
もしも夜道でなかったら
わたしがお棺を運びます

誰が覆いをささげ持つ?
ぼくら、と言ったはミソサザイ
夫婦二人で
持ちましょう


Who killed Cock Robin?
I, said the Sparrow,
with my bow and arrow,
I killed Cock Robin.

Who'll dig his grave?
I, said the Owl,
with my pick and shovel,
I'll dig his grave.

Who'll carry the coffin?
I, said the Kite,
if it's not through the night,
I'll carry the coffin.

Who'll bear the pall?
We, said the Wren,
both the cock and the hen,
We'll bear the pall.

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