2016年4月28日木曜日

萩原朔太郎と白いオダマキの花

去年まで住んでいたロンドンの家の近所で初めてオダマキを見たのでこの派手な花は洋風だと思っていた。最近はまっている寺巡りで撮影した草花を図鑑で調べていてこの花を苧環という漢字で書くことを知った。

昨日、散歩のついでに鎌倉文学館の萩原朔太郎展を訪れた。この人は鎌倉材木座に住んでいたことがあるそうでそのご縁らしい。自筆原稿や写真とかが2つの展示室に飾られている。岩波文庫 (三好達治編)のこの人の詩集の一番に出ている「夜汽車」という詩がある。原稿が展示されていたので読んでみると、最後の部分にオダマキの花が出てくる。「しののめちかき汽車の窓より外をながむれば ところもしらぬ山里に さもしろく咲きてゐたるをだまきの花」とある。この詩は恋人らしい人妻との旅の場面をうたっている。

「月に吠える」などの鋭敏な感覚で知られるこの詩人を知ったのは高校現国の教科書の伊藤整「若い詩人の肖像」からの抜粋だった。ここに登場した「題のない歌」という作品の最後の部分が印象的だ。「わたしは沈黙の墓地をたつねあるいた それはこの草叢の風に吹かれてる しずかに 錆びついた 恋愛鳥の木乃伊であった。」  他にも良い詩がたくさんある。わたしはこの人を恋愛詩の名手として認識してきた。昨日の特別展でこの人が古今和歌集の恋歌を愛読していたという説明があり納得した。
 

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