2014年12月2日火曜日

スリランカとインドとネパール カレーの思い出

今週の日本の某大手新聞で「日本のカレーと本場インドのカレーはどう違うか」という記事を読んだ。この記事面白いし、小麦粉を使うかどうかを論点にしているところは納得できるが少し違和感がある。「インドのカレー」なるものと「日本のカレー」があたかも一対一で対応するもののように読める点だ。

つれあいがスリランカで2年間仕事をしていたので、コロンボを訪ねたついでにインド、ネパールへも足を伸ばして一か月過ごした。1980年代後半の話だ。その時の印象から言うと肉でも、魚でも、野菜でもありとあらゆるものに何かしらのスパイスで「カレー」風の味付けがしてあって、味はどれも違っていた。どれが「本場のカレーか」と言われても困るような気がする。スリランカでもインドでもレストランのビュッフェでは種類の豊富さに圧倒された。コロンボを起点に当時のボンベイ(現在のムンバイ)、デリー、アグラ(タージマハルのある街)、カジュラホを経てネパールの首都カトマンズを訪れた。そこからインドに戻りマドラス(現在のチェンナイ)経由でコロンボに戻った。スリランカの第二の街キャンディであまりの辛さに涙を流しながら食べた「デビル・チキン」が懐かしい。

当時の駐スリランカ大使は奥様がお仕事を持っていらしたので単身赴任で、外食されることが多かったそうだ。レヌカというホテルのスリランカ・カレーは大使のお気に入りだったと聞いた。この大使夫人は若い頃には中国大陸で人気歌手として一世を風靡された人で、近頃ご逝去された。コロンボは当時タミールタイガーのテロの真っ最中で危ない国だった。おかげで、平時だったら王侯貴族かVIP御用達のゴール・フェース・ホテルに格安料金で滞在できた。このホテルは英国植民地時代に造られた最高級のホテルで海を眺めるプール、庭園、テニスコートがあり、ホテルのインテリアも含めて古き良き時代の雰囲気が最高だった。

この時のスリランカ、インド、ネパール訪問を通じて、行く先々のカレー汁がどのくらいゆるゆるかどうか、辛いかどうか、どういう具を煮てあるかは千差万別で、名前もいろいろだった。その土地ごとにいろいろなカレー料理があるのだ。その経験からすると日本のとろみのついたカレー風肉野菜煮込みについてカレーの本場の人たちが「これはなんという料理ですか」と聞くのはごく普通の質問で、「これはカレーでない」と強調しているのではないような気がする。

子供の頃にテレビで聴いたオリエンタル・カレーのCMソングが懐かしい。「懐かしい、懐かしいこのリズム、エキゾチックなこの調べ、オリエンタルの。。。」  カレーは昔も今も大好きだ。海外出稼ぎを繰り返してきたが日本のカレールーの味は本場のものとも違って独特だし、こんなに美味しい肉野菜の煮込みは世界に誇れるものだろう。「インド人もびっくり」の日本のカレーは美味しい。


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