2016年2月24日水曜日

人物写真について

週末の栃尾ツアーでご一緒していただいたカメラマンの柴田さんを撮った写真を誉めていただいたのでこれまで撮影したポートレート写真で気に入っているものを整理してみた。元の写真でモデルとなった人たちが気に入ってくれたものを再編集したものだ。つまらない写真をFBのプロフィールとして公開されている人も多いので、比べていただく意図で編集してみたら好評だった。「男の顔シリーズ」で撮ってみたいと思っている。

自分の若い日の写真をFBでアップした時に「どなた?」「息子さん?」と多くの方からコメントをもらったことがある。だいぶ昔に存在していたはずのこの若者はいったい何処へ行ってしまったのだろうか?自分の写真だとすると、それを違和感をもって眺めているこの自分とはいったい誰だろうか? 高石ともや「主婦のプルース」を思い出した。「ああ人生は悩みよ、楽しくなんかない、恋なんてしない間に老けちゃった」。この歌は「受験生のブルース」が大ヒットした後で流行っていた。


もう一つ思い出したことがある。ロンドンに住んでいた頃にAbsolutely Fabulous (アブファブ)というBBCの人気ドラマがあった。何度もダイエットを試みては挫折し美食にふける中年のヒロインは叫ぶ。「わたしの中に、ほっそりしたすてきなもう一人がいて、早く出してちょうだいって叫んでいるのよ!」 このセリフはすごい。ミケランジェロが自分の作った作品について「わたしは石の中から取り出しただけ」と言ったというエピソードに似ている。石の中からイメージ通りの作品を掘り出す作業は誰にでもできるものではないが、アブファブのヒロインのように大騒ぎしながらでも、少しずつ余計なものを落としていくことはできるだろう。

2016年2月9日火曜日

マンサクの花と叔父の記憶

小石川植物園でシナマンサクの黄色い花を見つけた。植物園は名札の付いた植物を見て「ああ、この花だったのか」と思うことがあるのでありがたい。「マンサクの花」には思い出がある。電車で長岡の中学校に通っていた頃の記憶だ。電車通学の時間調整もあって、夕方の閉館まで図書館にいるのが楽しかった。ある時、中学生の文芸コンクールの入選作を集めた本を手に取った。巽聖歌という詩人の編集だった。ぱらぱらとめくっていると栃尾の叔父の作品を見つけてびっくりした。山の中にある栃尾の春に咲くマンサクの花についての詩だった。春を待つ気持ちが印象的だった。

この叔父は大学で中国語を専攻してから石油会社に勤めていた。高度成長期のモーレツ会社員を絵に描いたような人で、甥である私に「後へ続け」と励ましてくれたが、お説教としてしか感じられなかったので
煙たくて仕方がなかった。ずいぶん反発を感じたが、正面きってぶつかる勇気はなかった。その後も最初の仕事を選んだ時に叱られ、最初の結婚相手を選んだ時にもぶつくさ言われて閉口した。離婚した時にもお説教され、会社を辞めた時にも皮肉を言われて腹を立てた。それでも心のどこかでいつも意識していた。

この人が会社の駐在員となって赴任したニューヨークから葉書をもらったこととか、その後クウェートやマレーシアで駐在代表を続けていたことに私は強い影響を受けた。私は最初の会社を辞めて以来、海外を転々とする生活をしてきた。この人に対して反発と敬意の混じった気持ちをずっと持っていた。雪に埋もれた栃尾の山の中でマンサクの花の詩を書いた中学生が、広い世界に憧れたことでこの叔父との共通点を感じていたのだろう。

丸山薫の「白い自由画」という詩がある。学校の教師をしていたこの詩人が東北の学校で教えていた時の経験をうたった作品だ。図画の時間に子供たちに絵を描かせる。お手本を見せようとするが、一面の白い雪で絵具の使いようがない。試行錯誤しているうちに手元が狂って黄色い絵の具の混じった水が絵の上にぽとりと落ちてしまう。それを見た子供たちが「マンサクの花が咲いた」と喜んだという内容の少し長い詩だ。雪国育ちにとっては故郷を思い出す作品だ。


              小石川植物園のシナマンサク




2016年2月4日木曜日

新林公園のムクドリとターナム・グリーンの星ムクドリ

この鳥をきちんと撮影できたのは今週が初めてだった。去年の秋に藤沢駅の南口の小田急デパートに向かう歩道橋の近くの木に、夕方になると大群が集っているのに何度も出くわしている。大群なのでさえずりの音がすごい。夕方だったのでうまく撮影できたことがない。境川の周辺でも時折り見かけたが電線に止まっていると逆光だったり、電線が邪魔になったりすることが多かったのでこちらもきちんと撮影できなかった。

今週、梅の様子が気になって犬を連れて出かけた新林公園で、スズメより大型の鳥にレンズを向けてみると、胸から頭にかけて白い点のような模様がある。白い斑点で思い出したのはロンドンのターナム・グリーンで見かけた星ムクドリ。添付の日経の解説記事によると、日本ではムクドリが多く、欧州では星ムクドリが多いらしい。この鳥は群れをなす習性があるそうで、録音テープを使った撃退策を考案したのは郷里である新潟県長岡市という情報も見つけた。なにやらご縁のある鳥だ。
藤沢 新林公園のムクドリ



ロンドン、ターナムグリーン周辺の星ムクドリ