昨晩はチェルシーにある日本レストラン「夢の木」さんで素晴らしいイベントがありました。ロンドンで活動されるHibiki Ichikawaさんと同じくロンドンをベースにしている歌手の望月あかりさんのコラボによる演奏会でした。最初の曲はHibikiさんのオリジナルで「Clover Steps」。ロンドンを拠点に欧州各地で演奏活動を行い、日本の津軽三味線と世界各地の音楽のコラボの可能性を探ろうとされているそうです。広々とした世界を感じさせる曲でした。
一転して望月さんの力強い歌声が入っての東北民謡のいくつかを津軽三味線の伴奏で聴きました。「南部俵積歌」「会津磐梯山」「英語バージョン入りのドンパン節」。民謡がとても素敵だということを再発見しました。これは声の迫力と間の魅力なので、ライブで聴かないとわからないかも知れません。それから津軽三味線のソロに戻って「津軽じょんから節」が最高でした。この曲は即興演奏が入るので、毎回その時一度きりの演奏なのだそうです。感動しました。
ビシュケクで買った5つの小石を眺めて写真に撮ってみた。観ていて飽きない。ラピスラズリは日本語で瑠璃と呼ばれる。この美しい石には邪気をはらいインスピレーションを呼ぶ不思議な力があるらしい。最高品質のものはアフガニスタンで採れるそうだ。中央アジアのアンティークの店でも原石とか飾りにしたものを見かけた。わが家のラピスラズリ物語については、以前ブログに書いている。
ときどきFBから目からうろこの情報が流れてくることがある。今週、たまたま目にした2つの法則は面白い。「さしすせその法則」(相手を持ち上げる一言)というのが紹介されていた。わたし流にアレンジすると次のようになる。
- さ さすがだね!
- し 知らなかったなあ!(少しは知っていても、そこまでは知らなかったがポイント)
- す すごいね!やったね!
- せ 先輩よろしく!(年齢に関係なく、個別の案件についてがポイント)
- そ そうなんだよね!
「たちつてとの法則」(否定か無関心を示す一言)は次のようになる。
- た たいしたことないね。
- ち 違うね。(そうじゃないよ)。
- つ つまらんね。
- て 適当でいいよ(どうだっていいよ)。
- と とんでもないよ(的外れだよ)。
ちょうど並行して別のwallで同じテーマ(職場の人間関係)が議論されていたので、この法則を紹介すると反応はまちまちだった。「ばっかみたい」という人もいれば、「面白い」という人もいる。
今の職場のロンドンの本部に現場から戻って人間関係で苦労した経験を振り返ってみると、思い当たることが多い。「してはいけない たちつてとの法則」はこれはグローバルな決まり事だ。これをやったらすぐにケンカになるか、チームメートに嫌われてしまうのは避けられない。いろいろな国籍の人たちの混成チームでは黙っている人は少ないから、「たちつてと」から生ずる小さな感情の行き違いも早い時期に直しておかないとトラブルに発展する。これは日本で経験した職場の場合より、すごくはっきりしていた。
微妙なのは「した方が良い さしすせその法則」の方だ。海外暮らしも長くなったがいまだに「男は黙ってサッポロビールを飲む」ことを男の美学と考えている。それで愛想よくすることが、職場の上役や仲間たちに「よいしょ」するようで照れくさいと思うことがある。それでだいぶ損をした。相手が黙っていると不安に思う人が多いコミュニティでは、少しオーバー気味なくらいに、ポジティブな「合いの手」を入れる必要がある。こういう「合いの手」に深い意味を持たせないのがポイントだ。いちいち考えていてはいけない。相手によって対応を変えるのはもっといけない。まんべんなく公平に愛想良くするのが大切だ。これは些細なことのように聞こえるが、実は大きな効果を発揮する。相手を不安にさせないで、本題に入るためのとても重要な基本テクニックだからだ。
今週の日本の某大手新聞で「日本のカレーと本場インドのカレーはどう違うか」という記事を読んだ。この記事面白いし、小麦粉を使うかどうかを論点にしているところは納得できるが少し違和感がある。「インドのカレー」なるものと「日本のカレー」があたかも一対一で対応するもののように読める点だ。
つれあいがスリランカで2年間仕事をしていたので、コロンボを訪ねたついでにインド、ネパールへも足を伸ばして一か月過ごした。1980年代後半の話だ。その時の印象から言うと肉でも、魚でも、野菜でもありとあらゆるものに何かしらのスパイスで「カレー」風の味付けがしてあって、味はどれも違っていた。どれが「本場のカレーか」と言われても困るような気がする。スリランカでもインドでもレストランのビュッフェでは種類の豊富さに圧倒された。コロンボを起点に当時のボンベイ(現在のムンバイ)、デリー、アグラ(タージマハルのある街)、カジュラホを経てネパールの首都カトマンズを訪れた。そこからインドに戻りマドラス(現在のチェンナイ)経由でコロンボに戻った。スリランカの第二の街キャンディであまりの辛さに涙を流しながら食べた「デビル・チキン」が懐かしい。
当時の駐スリランカ大使は奥様がお仕事を持っていらしたので単身赴任で、外食されることが多かったそうだ。レヌカというホテルのスリランカ・カレーは大使のお気に入りだったと聞いた。この大使夫人は若い頃には中国大陸で人気歌手として一世を風靡された人で、近頃ご逝去された。コロンボは当時タミールタイガーのテロの真っ最中で危ない国だった。おかげで、平時だったら王侯貴族かVIP御用達のゴール・フェース・ホテルに格安料金で滞在できた。このホテルは英国植民地時代に造られた最高級のホテルで海を眺めるプール、庭園、テニスコートがあり、ホテルのインテリアも含めて古き良き時代の雰囲気が最高だった。
この時のスリランカ、インド、ネパール訪問を通じて、行く先々のカレー汁がどのくらいゆるゆるかどうか、辛いかどうか、どういう具を煮てあるかは千差万別で、名前もいろいろだった。その土地ごとにいろいろなカレー料理があるのだ。その経験からすると日本のとろみのついたカレー風肉野菜煮込みについてカレーの本場の人たちが「これはなんという料理ですか」と聞くのはごく普通の質問で、「これはカレーでない」と強調しているのではないような気がする。
子供の頃にテレビで聴いたオリエンタル・カレーのCMソングが懐かしい。「懐かしい、懐かしいこのリズム、エキゾチックなこの調べ、オリエンタルの。。。」 カレーは昔も今も大好きだ。海外出稼ぎを繰り返してきたが日本のカレールーの味は本場のものとも違って独特だし、こんなに美味しい肉野菜の煮込みは世界に誇れるものだろう。「インド人もびっくり」の日本のカレーは美味しい。