2015年12月30日水曜日

平井真夫画伯「ゼロ号サイズの想い出展」 2015年12月

平井画伯は私の母校新潟県立長岡高校の先輩である。水彩画家にして、建築家で、男の手料理のブログも持っている。画伯とのお付き合いは2年ほど前に始まった。フェースブックでわたしが当時住んでいたロンドンの建物や自然の写真を投稿し始めた時に寸評をいただくようになった。今年10月にロンドンを離れて帰国する前にリッチモンドの丘から撮った写真を絵にされ、送ってくださった。とても嬉しい。12月23日から4日間、新宿西口の高層ビルの展示フロアで水彩画展が開催された。都内各地だけでなく、画伯の出身地である新潟県長岡市からも数人の方が参加された。12月26日の最終日には、最新の「沖縄シリーズ」の絵にまつわるお客さまがお見えになり、思い出話で和やかな一時となった。この展覧会では長岡の信濃川べりの水道タンクの絵を入手した。

平井画伯のブログは面白い。水彩画と建築と料理と友人の想い出などがテーマごとに整理されている。そのブログの一つに忘文というのがある。忘文はワスレブミと読み、忘草(ワスレグサ)にちなんだものらしい。倍賞千恵子も菅原洋一も歌った「忘れな草をあなたに」という歌があるが、そのワスレナグサとは別の花だ。忘草は萱草とも書く。キスゲ亜科の多年草で、ニッコウキスゲなどに近い植物だ。音読みの「カンゾウ」という名前でも知られている。花が一日限りで終わると考えられたことからの命名で、はかない美しさの象徴とされている。夏の季語だ。憂いを忘れるとの意味で「忘憂草」とも呼ばれるそうだ。

立原道造という詩人の「萱草に寄す」という詩集がある。この人の名前は知っていたが、詩集の読み方を知らなかった。岩波文庫版の「立原道造詩集」を読んでみると、風や、木立ちや、小川の水面や、月をテーマにした抒情詩の世界だ。ロンドンを離れる前にたくさんの時間を過ごしたチズイック庭園やイザベラ・プランテーションの世界を思い出した。この早逝した抒情詩人は建築家だった。水彩画で心に残る風景を描き続ける平井画伯と共通している。





以下の作品は去年の夏にいただいたレプリカです。

12月23日の個展とお祝い会の様子。





0 件のコメント:

コメントを投稿