近所のスーパーにビールを買いに行って玄関に店を出している花屋さんの前を通ると「ハニーサックル」という名札が付いていた。懐かしい気持ちがした。ウィリー・ネルソンという髭を伸ばした歌手が主演した「忍冬の花のように」という映画を名画座で観たことがある。学生時代の話だ。その時に原題に出てくる花の名前が「忍冬、スイカズラ」とあったので不思議な読み方だと思った記憶がある。厳しい冬を耐え忍ぶ花という名前も越後の雪国育ちには魅力的だ。
カズラというのは「蔓科の植物の総称」と辞書にある。スイカズラと同じように垣根で頻繁に見かけるのがテイカカズラである。この花は「スタージャスミン」によく似ているが、花が黄色が少しかかったほうがテイカカズラで、白いのがスタージャスミンだ。
カズラというのは「蔓科の植物の総称」と辞書にある。スイカズラと同じように垣根で頻繁に見かけるのがテイカカズラである。この花は「スタージャスミン」によく似ているが、花が黄色が少しかかったほうがテイカカズラで、白いのがスタージャスミンだ。
テイカカズラの名前は鎌倉時代の歌人、藤原定家に由来するという伝承を読んだ。歌人として名高い定家は同じく歌人としても名高い式子内親王に恋をする。皇族である親王とは身分違いなので、定家は叶わぬ恋に苦しんだらしい。親王は斎宮として神様に仕えて生涯を全うする。やがて定家も老いて生涯を終える。身分違いとはいえどちらも貴人なのでそれぞれが葬られた墓所はさほど遠くなかったらしい。定家の墓から蔓草が伸びて、内親王の墓に向かい、やがては覆い尽くした。この花が「定家葛」と呼ばれるようになったという言い伝えだ。
どちらも通りで見かける花だと思っていたが、友人と3人で高尾山に登ったら野生の花が咲いていた。親王の墓所まで蔓を伸ばすという話も良いが、森閑とした奥山に運ばれた定家葛の種が花を咲かせ、親王を思う気持ちのままに蔓を伸ばし続ける。その気持ちは永遠に報いられることもなく風に舞うという話の方がしっくりくると思う。
どちらも通りで見かける花だと思っていたが、友人と3人で高尾山に登ったら野生の花が咲いていた。親王の墓所まで蔓を伸ばすという話も良いが、森閑とした奥山に運ばれた定家葛の種が花を咲かせ、親王を思う気持ちのままに蔓を伸ばし続ける。その気持ちは永遠に報いられることもなく風に舞うという話の方がしっくりくると思う。
定家葛が高尾山に咲いていたらという想像に感動したので、つれあいに語り聞かせた。さぞや感動してくれるだろうと思っていたら、つれあいの反応は「男目線の話だわね。男が女をいくら好きになったからって、相手がそれをうれしく思うなんて限らない。おまけに死んだ後までお墓に絡みついてくるなんて、ウザイ」。男と女の間には深くて暗い川がある。野坂昭如さんの名唱だ。合掌。
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